村人の旅立ち メッカへ巡礼
こんにちは!JEEFインドネシア事務局インターンのあいりです!
前回イスラム教について書いてきましたが、
今回はマラサリ村のイスラム教の巡礼(ハッジحجّ)についてレポートします!
ハッジとはイスラム教徒がイスラム月の12ヶ月目に中東西アジアにある
サウジアラビアの聖地メッカへ巡礼することを言います。
健康なムスリム全員は、少なくとも1生に1度はメッカへ巡礼に行くよう義務づけられているそうです。メッカへの巡礼を終えた人は、『ハージー (Hajj) 』あるいは『ハッジャー (Hajja)』として別名が与えられて、インドネシアではハッジ○○さんと呼ぶようになったりします。
ハッジの主な儀式は、メッカにある神殿の周りを石に触れながら7回歩いて回ったり、サファーとマルワの丘の間を7回往復、ミナにある悪魔に向かって投石の3つ。
とても多くの人が押しかけるため、死者が出ることもあるそうです。
それでも、イスラム教徒が憧れてやまない聖地です。
先日、マラサリ村でもコポ集落から二名メッカに巡礼することが決まり、
送別パーティーが開かれました!!1日から30日間滞在するそうです。
お昼前11時ごろ、
ハッジに旅立つ方知人や友人、親類が正装してお宅に集まってきました。
イスラム教の正装は、女性はロングのワンピースに、ジルバブと言われるすっぽりとベールをかぶります。
男性は半袖でも構いませんが、襟付きのシャツを着てイスラム教徒特有のぴったりとした帽子をかぶります。
私も宗教的なイベントだから髪を見せないようにと言われベールをお借りしました。
やー赤道直下のインドネシア、暑かったです…
続々を集まってくる村人たち。
さらに、屋台や風船、おもちゃ売りなども集まり賑やかです。
会場である家に着くと、女性と男性は分かれて座ります。
ハッジに行かれる方のお話を2時間聞いた後、みんなで祈ります。
インドネシア語ではなくスンダ語で繰り広げられる
イスラムトークは理解できませんでした…泣
そしてお祈りが終わると、ハッジに行く方の前に100人以上が並びます。
今までの罪を近隣の人に謝ってから出発するようです。
だきあったり、涙を流したり…
メッカへの巡礼は一生に一度の宗教行為。
人生の中でとても大事なイベントのようです。
私は面識がない人でしたが心をこめて気を付けて行って来てくださいと言いました。
そして!お待ちかねのランチタイム!
自分で食べれる分だけとって食べます。
イスラム教において、巡礼はとても名誉あることとされています。
ですが、巡礼のためにはサウジアラビアへの飛行機や船そして宿泊など、巡礼に必要な多額の予算を用意できない人がとても多いのが現状です。こうしたパーティーも含めて150万円から300万円ほど必要だそうです。
さらに、巡礼したいと思っても順番待ちのために17年18年ほど待つ必要があるそう。
月収1・2万円程度の、ふつうの村人に巡礼はハードルが高そうです。
メッカへの巡礼を成し遂げた人は「ハッジ」と尊称されて
地域のリーダーとして権威づけられます。
ほとんどのマラサリ村の住民はこの地域で仕事をして、食べています。
外に出ることは少なく村の中の関係は日本人が考えるよりも重要で、
宗教的な意味はもちろんですが、
ハッジによる村内権威確立の効果は大きいのだと感じました。
イスラム教ってどんな宗教?
こんにちは!JEEFインドネシア事務局インターンのあいりです!
今日は誤解が多いイスラム教について取り上げます!
イスラム教についてどんなイメージをお持ちですか?
正直私は、イスラム教が人口の8割以上を占めるインドネシアに来るまで
女性が黒いベールをかぶっていたり、
自爆テロのニュースで多くの人が亡くなったり、なんかちょっとコワいな…
というネガティブなイメージしかありませんでした。
そして、その戒律などについては教科書以上のことは何も知りませんでした。
ですが、実際に留学して本音ベースで話せるイスラム教徒の友人ができるとそのイメージはガラッと変わりました。
なんかみんな幸せそうなんです。(笑)
ムハンマドが始めたイスラム教ってどんな宗教?
まず、一神教。只一つの神様しか認めません。
日本のような山の神のような自然の神様とは違って人格のある神様です。
そして、創始者ムハンマドは神の言葉を授かる預言者であって神様ではありません。
さて、唐突ですが、神様はずっと昔から預言者に言葉を与えてきたとされています。
…「ノアの箱船」のノア、「出エジプト」のモーセ、「キリスト教」のイエス。
そして、これまでのノアたち人間に言い残した言葉を伝えるために選ばれたのが
「最後にして最大の預言者」と言われるムハンマド。
さらに、その神がかり状態のムハンマドの言葉を集めたのが
イスラム教の聖典が「コーラン」です。
その場で聞いていた信者たちが、書き留めてまとめた神の言葉そのものです。
イスラム教徒の義務って?
イスラム教徒にはどんな「おつとめ」があるのか。
高校の倫理の教科書に出てくるので文系の方は聞いたことがあるかもしれません。
まず「六信五行(ろくしんごぎょう)」という義務があります。
んん?なんか難しそうですが、そんなことありません。
「六信」とは信じなければならない6つのこと。
「神」「天使」「啓典(コーラン)」「預言者」「来世」「天命」
そして、「五行」は、ムスリムが行わなければならない5つのことです。
「信仰告白」「礼拝」「断食」「喜捨」「巡礼」の5つ。
「信仰告白」というのは、
「アラーの他に神なし。ムハンマドはその使徒なり。」と唱えることです。
この「信仰告白」というのは、次の「礼拝」と一緒におこなわれます。
「礼拝」一日五回決まった時間に、地球のどこにいてもメッカのカーバ神殿という黒い箱のような建物の方向を向いておこないます。
「断食」一年に一ヶ月断食月があります。一ヶ月間まったく何も食べないのではなく、日の出から日没まで、太陽の出ている時間帯に食べ物を口にしない、というものです。日の出前の4時までと、日が沈んだあと6時ごろには食べられます。
はじめはつらいですが、みんな一斉に行うのでお祭りのようで意外と楽しいものです。
→断食については私も1か月間挑戦したのでこちらを見てください♡(笑)
断食月が始まりました! | JEEF 公益社団法人日本環境教育フォーラム
「喜捨」。これは豊かな人が貧しい人に財産をわけあたえることです。
そして「巡礼」。これは、中東西アジアにあるサウジアラビアのメッカへ巡礼することを言います。
さらに、酒・豚肉の禁止や女性のベールを着用など細かいルールもありますが、大きくはこの五つです。
インドネシアにおいてもイスラム教は意外と寛容で、
他の宗教のひとも尊重してくれます。
そして 日本ではあまり感じないけれど、
本当に宗教が日常の人と人の関わりの中に息づいていると思います。
毎日早起きしてお祈りをする。
モスクへ行ってお祈りをする。
みんなで職場で手や足を清めてから、お祈りをする。
断食の月にはみんなで我慢して、
一ヶ月やり通したら盛大に御馳走をつくって花火をあげてお祝いをする。
結婚式には親類みんなで同じ色のおそろいのベールを使ったり、
ちょっと工夫しておしゃれにベールをまいてみたり。
イスラム教徒とはいえ、人として基本的なところは私たちと全く変わらない。
むしろとってもやさしい道徳的な宗教なんだってことを、日本の人に伝えたいです。
村の買い物事情
こんにちは!JEEFインドネシア事務所インターンのあいりです!
私はグヌンハリムンサラック国立公園で活動するNGOでインターンをしており、
1年の半分くらいフィールドである国立公園内マラサリ村に寝泊まりしています。
このマラサリ村はとても自然が豊かで、村人の8割の農民!農業をしています。
そのため米や野菜などは各家庭が持つ畑で手に入ります。
しかし、肉や魚、調味料などどーしても
近年村内では手に入れるのが難しくなっているものもあります。
でも、マラサリ村があるのは山の中。
ふもとの一番近い市場まで一時間以上かかる場所にあります。
そこまで行ける公共交通機関は無く、
村の女性たちは自分でバイクを運転したり、乗れる人を探したりと、ちょっと大変。
今回は、そんな村の女性たちの救世主!
村のお買いものに欠かせない存在のおっちゃんを紹介します!
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「サユ-ル! イカン!」
野菜や生鮮食品を市場から村まで運んで販売するこのおっちゃん、
毎朝、ルウィリアンという少し離れた市場で仕入れた
新鮮な食材を持って村に来てくれます。
売っている商品を見ると、
トマトや玉ねぎ、とうもろこしなどの野菜や
みかんやスネークフルーツなどの村で見かけない果物、
卵や加工済みの魚など種類豊富!
おじちゃんが来ると村の女性たちがわらわらとお財布を持って集まってきます。
女性たちは2・3種類の野菜や肉を夕食のために買います。
そして、買い物が終わった後もわいわいとおしゃべりが続きます。
おじちゃんが野菜を販売する場所が、地域の井戸端会議の場所です(笑)
男性は果物を買っていく人が多いようでした。そして、その場で豪快にパクリ。
さてさて…
こちらは卵と大豆を発酵させたテンペイと…?
そして、このオレンジ色のは何でしょう?
んんん…。カビ???
このオレンジ色のカビが生えた食べ物はオンチョム(Oncom)
オンチョムは落花生粕やおからなどを発酵させたインドネシアの伝統的な食品。
そのまま切って揚げたり、キャッサバやジャガイモと一緒に調理したり、
バリエーション豊かに使えます!!なんとも癖になる味。
オンチョムと頼むとなぜか中国語の新聞に包んでくれました。
今日の私の夕飯はオンチョムと野菜を炒め物です!
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さて、この野菜売りのおっちゃん。難点が一つあります。
それは、朝に雨が降ると来ない!ということ。
マラサリ村では朝に雨が降ると食卓からおかずが一つ消えるとか消えないとか…(笑)
マラサリ村では、この人以外にも果物専門の方など、
数人のおちゃんが村の食をそっと支えています。
断食明けのお祝いムードにほっこり
こんにちは!JEEFインドネシア事務所インターンのあいりです!
断食月がついにあけました!!わーい!
というのも先月6日から始まったイスラム教徒の断食月、ラマダンに参加していました!
食欲に弱い私でしたが、みんなが頑張るムードに押されつつ、
無事一ヶ月の断食を達成しました!!
そして、断食で体重減るかなーと期待していましたが
断食をしても体重は全く変わりませんでした…。残念。
人によっては数キロ痩せたり、反対に日没後に食べすぎて太ったり、人によってバラバラのようです。
断食月の終わりは花火で祝います!
時間が来たら同時にご飯を食べ、食後は花火が上がる様子をみんなで眺めました!!
日本の大晦日さながらの雰囲気。この日はいつも9時には寝てしまう村人たちも夜更かし。夜遅くまで起きています。
翌日の断食明けのお祭りではヤギをさばいて、いつもの数倍豪華なご飯を作ります!
断食明けのご近所や家族の訪問のためにお菓子もたくさん手作りしました。
ロフマット家ではご近所さんと一緒にお祝いのため、1頭のヤギをさばきました。
家の裏でさばいたヤギ肉を独特の調味料で煮詰めた料理。
スパイスの深みがヤギ肉にあっていてとてもおいしかったです。
マラサリ村の断食明けいかがでしたか?
家族が集まりおいしいものを囲んで一年の自分の足りなかった部分を謝り、久々に語り合うようすにほっこりしました。
農家さんとカカオ豆からチョコレートをつくる!!
こんにちは。
JEEFインドネシア事務所インターンのあいりです!
お休みをいただいてジャカルタから10時間以上の場所にある
スラウェシ島のカカオ農園におじゃましました。
今日はチョコレートの原料であるカカオ豆、
これがおいしいチョコレートになるまでをご紹介します。
カカオはチョコレートの原料。
7cm位のラグビーボールのような形をした実(カカオポッド)の外側の殻を割り、中にある白い実とその中の種を同時に取り出します。
そして、この種を5日間、木箱の中で発酵させます。←これがおいしくなるポイント!
発酵した豆を、天日で数日干したあとのカカオ豆でチョコレートを作ります。
さて!今回はカカオ豆を生産する農家さんたちとチョコレートを作っていきます!
生産はしているものの、彼らにとってカカオは換金作物。
食べることはほとんどありません。
①カカオ豆を洗う
両手で挟んですり合わせるようにして洗います。水が透明になるまでしっかりと。
②乾燥したカカオ豆をぱちぱちと音が鳴るまでじっくり炒る。
あまり火は強くしすぎずに丁寧に炒っていきます。
もういいかなと思ったら一粒割ってみてください。
中までかりっとなっていたら完成!
③皮を剥く
火であぶった後、皮がういて来るので丁寧にはがします。
※やけどに注意
とった皮でカカオ茶もできますよ!
④細かいパウダー状になるまでつぶす
カカオ豆の持つ油がしっとりとなじんで来たらOKです。
今回は農家さんが今後も簡単な道具でできるようにインドネシア式のすり鉢を使いましたが、ゴマすり鉢でも、ブレンダ―などの機械を使えばもう少し簡単にできると思います!
⑤砂糖、牛乳をお好みでカカオパウダーに投入!
お好みの固さで作ってみてください。牛乳入れすぎると固まらないので注意!
⑥成形!シリコンに入れて、冷蔵庫で数十分冷やして完成!
冷蔵庫で冷やしてる時間、まってられない!とつまみ食いする子ども達。
嬉しそうでこっちもうれしくなります!
今回は予想以上にたくさんの方が参加してくださったので、
鍋に牛乳をたっぷりいれてホットチョコレートをつくってみんなに分けました。
カカオ豆からチョコレート、想像との違いはありましたか??
どうやら日本でもキットを販売している会社があるようです。
ぜひ機会があれば挑戦してみてください!
マラサリ村でのエコツアーの背景
こんにちは!Selamat siang !
JEEFインドネシア事務所インターンのあいりです!
日本は梅雨前でしょうか?
インドネシアは一年中夏なので、とうとう汗疹が出来てしまいました(笑)
(今回はあさみちゃんが書いていたことをちょっと加筆して投稿しています)
JEEFインドネシア事務所が
どうしてこの村でエコツアーを推進しているのかをお話します。
ただ好きだから、よりもう少しだけ深い理由がそこにはあるんです。
そもそもマラサリ村ですが、前にもご紹介したように
グヌン・ハリムン・サラック国立公園の中にある村なんです。
国立公園の中に村があるって、日本ではあんまり想像がつかないですよね。
インドネシアの国立公園ってとっても広いんです。
マラサリ村の人口は約8,000人。
主産業は農業で、村中心部まではジャカルタから南に約150km(車で3時間)ほどの場所にあります。
マラサリ村の成立は1950年代までさかのぼります。
1992年、村の面積の約三分の一がグヌン・ハリムン国立公園に指定されました。
その土地の自然を守るために設定された国立公園、
もちろん人が住むことは許されていません。
国立公園が出来た瞬間に、
そこに住んでいた人々は違法居住者になってしまうわけです。
それ以降村の人たちの居住区や畑の一部が
違法な土地利用とされてしまいました。
また、国立公園内はマラサリ村だけでなく、115を越える村が存在しています。
国立公園が全員退去させることは現実的に不可能です。
そのため、国立公園はそれを黙認しつつ、田畑を広げたり、薪のために木を切るなど
これ以上自然を壊さないように見張る態勢をとっていました。
ですが、それでは村側としてはいつ追い出されてしまうかも分からない不安定な状況なうえ、これ以上農地を拡大することもできなくなってしまいました。
そこで、農業以外の分野で収入を得ようと考えたのが
今回のエコツーリズム推進プロジェクトです。
エコツアーは自然を壊すのではなく、自然を活かして収入を得る仕組みです。
「エコツアーが成功することで環境を守ることが自分たちの収入につながる」という意識が生まれ、積極的に自然を保護する姿勢が生まれることも期待できます。
JEEFはJICAの草の根活動の枠を得て、
マラサリ村でのエコツーリズム推進事業に関わっています。
今まで敵対関係にあった国立公園職員と村人、またボゴール県政府などエコツアーに関わる関係者との仲介役として調整をしたり、
トレーニングや村人対象にスタディツアーを実施するなど活動を行っています。
今回は長くなってしまいましたが、マラサリ村のエコツアープロジェクトの背景について書かせていただきました。
進捗状況はJEEF公式ホームページにて随時更新していきます!!
バラ農園は新たな観光資源?
こんにちは。Selamat siang!
JEEFインドネシア事務所インターン生のあいりです!
JEEFでは2014年からJICA草の根技術協力事業として、グヌン・ハリムン・サラック国立公園内にあるマラサリ村で持続可能な観光開発の支援を進めています。
マラサリ村では棚田や、滝、熱帯の原生林などを主な観光スポットとしています。
さて、そんな原生林の中にある、のどかで素朴な稲作の村、マラサリ村ですが、
実はロマンチックなバラを育てている集落もあるんです!
マラサリ村のかなり高地にあるバラ農園。
毎日村の人たちが丹精をこめて育てたバラがトラックに詰められ、山のふもとの町に売りに出されて行きます。
出荷前には1本1本丁寧に下の方の葉を手で落としていきます。
写真のピンク色だけでなく白赤黄色紫とバリエーション豊富。
最近では、マラサリ村観光のお土産にこのバラを渡したりもしています。
また、マラサリ村観光の新たなスポットにしてはどうかという意見も出てきていますが、インドネシアの大手企業が運営するこの農園をスポットとすることは、
コミュニティーベイスドのツアーと言えるのかなど、まだまだ考えることはたくさんありそうです。